共栄ニュース 11月号「高騰が続く最低賃金」
2025/11/04
政府は、全国の最低賃金の平均額を2030年までに1,500円にするという方針を掲げており、その方針に基づいて今年も昨年に続き最低賃金が大幅に引き上げられる見込みです。
地域別(都道府県別)の最低賃金は、以下の手順を経て改正されます。

上記に基づき、今年度の最低賃金について以下の事項が決定されました。(金額はいずれも時給)
① 地域別最低賃金の大幅な引き上げ
47都道府県すべてで、地域ごとに63円から82円の引き上げとなりました。(引き上げ率の平均は83.4%)
(内訳)82円(1県)、81円(1県)、80円(1県)、79円(1県)、78円(3県)、77円(2県)
76円(1県)、74円(1県)、73円(2県)、71円(4県)、70円(1県)、69円(2県)
66円(2県)、65円(8道県)、64円(9府県)、63円(8都府県)
② 目安額を上回った都道府県の増加
中央最低賃金審議会が答申した目安額を上回って引き上げたのは、昨年度の27県に対し、今年度は39道府県となりました。
③ 全国加重平均額の決定
改定後の全国平均額(加重平均)は1,121円です。(昨年度1,055円から66円の引き上げ)
④ 過去最高の引き上げ幅
全国平均額の66円引き上げは、昭和53年に目安制度が始まって以来、過去最高です。
⑤ 地域間格差の改善
都道府県最高額(東京都:1,226円)に対する最低額(高知県、沖縄県:1,023円)の比率は83.4%です。(昨年度は81.8%)この比率の改善は11年連続となり、地域間の格差は減少傾向にあります。
⑥ 施行時期の遅れ
今年度は大幅な引き上げとなったため、一部の地域では施行時期が例年より遅くなるところがあります。
事例【最低賃金運用上の留意点と歩合給の扱い】
大阪府下にあるA社の乗務員の賃金は基本給(日給)7,000円(時給換算875円)+売上歩合(25%)で構成されています。以前、所属労働組合から「基本給を時給換算すると最低賃金を下回っており、違法でないか」と指摘がありました。
最低賃金の計算は次のようになります。
①基本給部分の時給換算額 7,000円÷8時間=875円
②歩合給部分の時給換算額 1か月の歩合給の総額÷1か月の総労働時間
上記①+②の合計金額が、都道府県ごとに決められた最低賃金額を上回っていれば違法とはなりません。
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